(いい日でありますように)
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2024.11.23 Saturday
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あやしあやかし:1
2012.02.20 Monday
私がスーツ(もしくは事務服)を着て出勤すると10割方「今日会議?」と聞かれる…。なんでや…。
今日は二人連続聞かれました。うち一人は「やべ!今日会議あったっけ!?俺、作業着だ!」と焦っておりました。ちがうんよ…。またしばらく作業着をローテーションして忘れたころにスーツ着てったる!このやろ!
続きは妖怪パロです。とりあえずすべてはここから始まった三幸シーン。
三成が碌でもないです(いつものこと!)
「続きを見る」からどうぞ!
真田家は、常に不在の真田昌幸の愛息幸村が無駄に広く、豪勢な門構えの持つ屋敷で一人生活している。はたから見ればどこぞの名家かと思われる邸ではあるが、その実、父昌幸は借金取りに追われ、その身を隠すと同時に一攫千金を狙って各地を放浪しているのである。借金返済のためのアルバイトと学業で現家主である幸村は家を留守にすることは多いものの、彼の在宅時にはすこぶるにぎやかな声が響き渡る。
今日も今日とて、明かりのうっすらとともる真田邸。さまざまな人であらざるモノの声が聞こえる。
大きく伸びを一つ。幸村は落ちてくる瞼をこすって立ち上がった。
机の上に広げられたノートをかばんに詰めて、最後に明日の授業を確認する。間違いも忘れ物も内容だと指さし確認すると背後で前足を組んで夢見心地であった清正が大きく欠伸をした。
「終わったのか?」
のっそりと立ち上がり、清正は幸村の足に体を押し付ける。幸村の腰ほどまでの体高をもつ清正は獰猛な牙と他を圧倒する体躯を持った幸村の狗であった。ただの狗というには語弊が生じるが、幸村にとっては清正は幼いころからそばにいる家族同様の大事な存在である。
「はい、…あれ?正則殿は?」
「アイツはもう寝た。ガキと同じなんだよ」
「もう、今日こそはお風呂で背中を流してさしあげようと思ったのに」
清正の背をなでながら残念がる幸村の一言に、ピクン!と清正の耳跳ねた。そして急にそわそわし始めた清正に幸村は首をかしげた。
「ゆ、幸村…」
振り返り見上げてくる清正の顔はどこか赤い。風邪だろうか、と見当違いなことを考える幸村に、清正は口を開いて、言葉は発する前にさえぎられた。
「ひさしぶりだねぇ、幸村」
「慶次殿!」
音もなく現れた男に、幸村は驚き、清正は顔を顰めた。金色の派手な髪を揺らして、慶次と呼ばれた男は幸村の前に立つ。ぐるる、と清正が唸ったのを、慶次は一瞥して呵呵と笑う。手には紙袋が握られていた。
「ほら、土産だ。アンタに」
「わ、月餅ですね!」
がさごそと紙袋から取り出した土産の菓子に幸村の声は弾む。甘いものに目がない幸村は帰郷する度に慶次が買い与える中国の甘菓子に夢中である。それがますます気に食わない清正は、幸村の袖に犬歯を引っ掛けて促した。
「風呂、入って寝るんだろ」
「あ、そうでした」
明日いただきます、と掴んでいた月餅を丁寧に紙袋に戻して、幸村は清正に強引に風呂場へと連れられていく。一人残された慶次ではあったが、ゆっくりとその後を追ったのであった。
「清正殿も、一緒に?」
きょとん、と幸村は清正を見下ろす。そうだと返事の代わりに清正は木造りの扉に鼻を当てた。幸村が代わりに引き戸を引いてやると清正は遠慮なく並々と湯の張ってある浴槽にざぶんと浸かった。気持ちよさそうに目を細める清正に笑みを浮かべて、幸村は上着を脱いだ。
「細いねぇ、ちゃんと食ってたのかい?」
そわりと腰をなでられる。飛びはねて声のしたほうを見上げれば慶次が幸村の腰を抱いている。真っ赤になってその手を放そうと躍起になる幸村であったが、それはますます慶次を楽しませる。
「貴様…っ!」
清正がずぶ濡れのまま脱衣所に飛び込んできて、床はびしゃびしゃ、半端に脱がされた幸村は軽くパニックに陥っている。
「その手をどけろ!」
「おうおう、おっかないねぇ、」
「け、慶次殿、お手を…っ、清正殿、床が濡れます~…」
湯あたりしたように赤くなっている幸村の顎が、ついと持ち上がられる。慶次に噛み付く清正も、慶次も、気づかないうちにそれは、いた。
「なんだ貴様、男ではないか。まぁ、なかなか愛らしい顔をしている。それに、」
生暖かく湿ったものが、幸村のほほに押し付けられた。
「うまそうだ」
ぱちり、と幸村は瞬きひとつ。
慶次も動きを止め、清正は空(くう)を見上げた。黒色のマントに身を包んだ赤茶色の髪をもつ燕尾服の男は
宙に浮いており、口端を釣り上げて笑う唇には牙がのぞいていた。
まさか。幸村の頭に嫌な予感がよぎる。
「俺の名は三成、お前の夫になる男だ」
ああ、また。
幸村はがっくりと膝から崩れ落ち、水浸しになった床に手をついた。
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