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現代ごとさな

後藤と真田(注:「幸村」表記)
転生ねた。





あ、

勢いよく飛び出した、あけたばかりのトマトケチャップがどろりとなめらかな線を描く器を伝って幸村の手を汚す。いくら腹が減っていたからって、と中身を絞り出してしまった右手と、左手に乗るホットドックを交互に眺める。己の粗忽具合にため息をひとつ、左手から容器をはなし、テーブルの上にそっとキャベツに埋まったウインナーが悲しい微乾燥塩梅のコッペパンを置く。まずはペーパータオルで容器を拭いてからだ、と踵を返そうとして、ふと、真田は動きを止めると、左の手を見つめた。ぞわり、と得体の知れない恐怖が幸村を襲う。

あか、 いろあざやかな、 あか、 だ。

ぐるぐるとめまいがしてその場にしゃがみこんでしまいそうになるのをぐっと堪える。
ちがう、と頭の中で何度否定しても視覚がそれを遮る。水っぽくも生々しい赤は生命を感じさせた。強制的に頭に浮かんでくる風景。折れた矢が幾本も背中に突き刺さり倒れたままぴくりともしない幾つもの物言わぬ人、折れた刀を握り締め横たわるからだ。血と脂と、人間が焼けるにおいが鼻を突く。土が燃え黒い煙が何本も立ち上がっている。遠くで馬の嘶きと喉をつぶすほどの絶叫が響いてくる。ぴりぴりと痛む肌に渇いた喉、指先はしびれ、それを叱咤するように力を込めて柄を握り直す。ひゅうひゅうと喉の隙間から息が漏れてひどく息苦しい。
心臓の真ん中にぽっかりと空いた穴を埋めることができず、途方にくれたまま、真田はただ立ち尽くした。
「なにやってんだ、」
真田の背後から影が落ちた。ぼーとして、ということばとともに後頭部に軽くこぶしが振り下ろされる。は、と我にかえり真田は声の方を見上げた。長身の良く見知った男が後ろに立っている。男は赤く染まる真田の右手のひらを見て、大げさに肩をすくめ、右手首をつかんだ。またべどの、水場へと引きずられるまま真田が早口に男の名を呼ぶ。なんだ、と振り返る又兵衛に、真田は思い切り自由であった手でその横っ面をひっぱたいた。なにしやがる、と怒鳴る又兵衛から距離をとるとさっさと背を向けてリビングを後にする。一人又兵衛をリビングに残し、真田は甘酸っぱい独特のにおいを放つ調味料で汚れた手をおもむろにシャツで拭った。紺色のワイシャツはじっとりとしめり、色が変色する。怒られるだろうとその風景を思い描きながらそれでもいいか、と笑えたのは、今のこの生活が現実で、とても幸せだったからだ。




うまく改行の使えない子でごめんなさい。
よくわからないはなしでごめんなさい。



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